溜め込んだのはゴミじゃなく人生の思い出だ
カビが生えた食べ物や生活ゴミの中に放置された児童。
本と焼酎の空き瓶が転がった考試院の部屋の中で孤独死した青年。
古い思い出とゴミを抱えたまま寂しい死を迎えた独居老人。
・・・悲劇の現場を訪問した人たちはこのように話す。
それらの家では山のようなゴミが出てきた。
不快な臭いを漂わせるゴミ屋敷は、往々にして悲劇の現場となる。
生後2ヶ月の赤ちゃんの遺体が発見された冷凍庫、親が死亡した後に1ヶ月以上も遺体の
そばで暮らした姉妹、ホームレス生活を脱したはずがゴミの中に埋もれて死ぬことと
なった男性など、惨劇はあとを絶たない。
ゴミ屋敷は家族や自分の人生を捨て、外部から孤立した人たちによる産物だ。
ソウル新聞が229の自治体に情報公開請求をして得た資料によると、2018年以降でゴミ
屋敷の疑いがある家庭は1,350世帯に上り、この内939世帯が観察状態に置かれている。
ゴミ屋敷に対する正確な用語はまだ無い。
自治体によって「貯蔵脅迫」や「積み置き世帯」などと呼ばれる。
2018年から自治体が清掃支援をした世帯は1,255件におよび、回収されたゴミの総量は
3,654tで、かかった費用は6億4,500万ウォンと集計された。
1件につき平均3t近いゴミが出てきた訳だ。
ソウル新聞は昨年3ヶ月間、ゴミ屋敷の孤立世帯を深層取材した。
鬱病に苦しんでいる親から放置された子供、世間と隔絶した20・30世代の青年、ゴミを
友達にして寂しさを紛らわす老人など、どれも事情は複雑だった。
ゴミ屋敷は個人の性格や強迫観念だけではなく、社会的・経済的要素など様々な要因が
絡み合って出現する。
1人世帯が増加し、2極化が深化し、今後現れるであろうさらなる悲劇を防ぐためにも、
国家と社会による介入が不可欠だ。
(ソウル新聞/朝鮮語/2021.9.16)
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今回の話はそのまま日本にも当てはまるんですよね。
日本の自治体がどの程度調査・把握しているのかは知りませんが。
たまにニュース特集になったりする事案です。
問題はゴミ屋敷の住人が、自治体による処分にすら同意しないということ。
また一度処分しても、結局は元に戻る確率が非常に高いということ。
それらのほぼ全てが1人暮らしなので、周辺住人による通報以外で状況を知る手立ても
ありません。
第三者の管理が及ぶ共同住宅ならどうにかなるでしょうが、1軒屋だともう法的にも
難しい状況となってしまいます。
事業者へは「悪臭防止法」がありますが、個人に対してはいわゆる「ゴミ屋敷条例」で
各自治体が独自に対処するしかない。
特に都市部の住宅街では頭の痛い問題なのです。
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