「韓国が独自に核武装しても米国は支持しなければならない」
米国ダートマス大学のジェニファー・リンド准教授とダリル・プレス教授が共同で、
7日のワシントン・ポストに「韓国は独自の核兵器を作るべき?」というタイトルの
コラムを寄稿した。
増大する中国軍事力の驚異と北朝鮮の核開発進展によって、韓米同盟が相対的に弱体化
しており、これを補えるのは韓国の核武装だけだと言うのだ。
以下要約~~~
「対中戦略について」
・中国の影響力の肥大化により、韓国と米国とで外交戦略に大きな違いが生じている。
・米国は同盟国に対中戦略での役割分担を要求しているが、韓国は決して加わらない。
・韓国での韓米同盟が持つ意味とは、常に北朝鮮の驚異に対抗するものでしかない。
・韓国がクアッド参加を躊躇う姿勢を見ても、もこれらは明白である。
・米国は(安保上の)良き友人であり、中国は(貿易上の)永遠の隣人であるという
のが韓国の考えだ。
「対北朝鮮戦略について」
・北朝鮮の核開発が水爆などへ先鋭化させる場合、同盟国のあり方を根本的に変える。
・北朝鮮が韓国の軍事的優位を中和するために、核兵器を使うかもしれない。
・米国が同盟国として報復すれば、当然米国も核ミサイルの驚異に曝される。
・韓半島での戦争が米国本土に飛び火することは、米国民は絶対に容認しないだろう。
・つまり北朝鮮の核開発が進むほど「米国は本当に韓国を守ってくれるのか?」という
信頼性の問題に直面するが、これを確認する方法は無い。
・かつてNATOが同様の問題に直面し、英・仏は核兵器開発を急激に推し進めた。
・米国は韓国との間で核兵器の共有について興味を示しているはずだ。
~~~以上のような理由で、韓国が独自に核兵器を開発することも可能であるという
のが前出の2人の意見だ。
韓国の核兵器開発が北朝鮮への抑止力となり、中国に対しても政治的独立を保つ手段に
なると言う。
多くの専門家は、核拡散防止条約(NPT)により制裁を加えられる可能性が高いため、
韓国の核兵器開発は不可能だという意見で一致している。
これについても2人は「韓国の核兵器開発は合法的であり、正当化可能」と主張した。
また「NPTの10条では国家の危機的状況下での脱退が認められていて、北朝鮮に対する
韓国の立場が、正にこの状況に該当する」と述べている。
続けて「韓国は既にこの方向へ向かっているはずだ」とし、「韓国人の70%が核兵器の
保有を支持していて、SLBM発射可能な新型潜水艦も用意している」と記した。
2人は結論として、韓国の核武装を米国が好む訳ではないが、弱体化した同盟に対する
事実上の最適解であり、もし韓国がそのような選択をしたとしても米国は政治的支持を
与えなければならないと締めくくった。
(朝鮮日報/朝鮮語/2021.10.8 無駄に長いので超意訳で圧縮しています)
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ダートマス大学というのは、米東海岸の超エリート校でアイビー・リーグの一角。
ジェニファー・リンド准教授というのは国際安保関連の専門家で、歴史的観点から見た
国際情勢についての寄稿などが多いようですね。
特に日本に関しては専門分野らしく、幾つかの日米研究機関に所属しており、さらには
日本に赴任していたこともあるようです。
当然日本と韓国に関わる執筆もあり、2020年NewsWeekへの寄稿では、慰安婦・徴用工
問題に言及する際に韓国側の主張をそのまま鵜呑みにする形で「日本に必要なのは謝罪
することではなく事実を認めることだ」とか言ってる人ですよ。
2019年に韓国がGSOMIA破棄騒動を起こした時も今回と同様WPへ寄稿していますが、
その中で「日韓併合以降、日本は韓国人に多くの残虐行為を行い、WW2では日本兵の
性奴隷(慰安婦)として働くことを強要した」と述べています。
ただしこのような論調はこの人に限った話ではなく、米国で日韓問題に関わる知識人の
中では圧倒的多数派だという事実。
その拡散には多くの韓国系学者や専門家が絡んでおり、米国社会へ深く浸透していて、
彼らの主張が大手メディアへ露出する機会も多いのです。
そんな状況ですから、韓国系や中国系コミュニティからの執拗な攻撃を覚悟してまで
否定しようという人物は極少数、意見を求められれば同調しておくのが無難ですよ。
最近はハーバード大学の教授が、慰安婦否定の論文で総攻撃を受けていましたけどね。
ダリル・プレス教授というのは国家安全保障政策の専門家で、長年に渡り米国防総省の
アドバイザーを務め、米国務省の歴史諮問委員会メンバーだそうです。
核拡散や核抑止関連の著書が多いですね。
この2人は仲がいいのか、よく共同執筆しています。
まぁ米国ではそれなりに影響力を持ち、かつ情報も集まる方々だと思うので、韓国人が
小躍りするような内容であっても頭の中に留めておくのがいいかもしれません。
ちなみにNAVER転載記事のコメント欄では、案の定ネチズン大歓喜(笑)
記事に出てくる核兵器の共有ですが、確か野党の大統領候補が米国との戦術核共有に
言及していました。
現実問題として在韓米軍の指揮権すら与えられないのに核兵器の共有とかあり得ない
話ですが、単に米軍が韓国へ核ミサイルを配備することは可能と踏んでるのかな?
THAAD配備ですら御主人様に殴られまくってる訳ですが・・・・・。
米メディア記事をあれこれ検索して思ったのは、韓国核武装論というのは北朝鮮が何か
アクションを起こす度に浮上して来るんだなぁということ。
決して今回が初めてでも、あるいは特別珍しい意見でもありません。
そしてその根底にあるのは今回の記事同様、常に「同盟の信頼性」なのですよ。
これは何も韓国に限らず、日本や他の米同盟国にも当てはまる難問ですよね。
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