廃業したくても出来ない理由とは?
Aさんは2019年夏、マンション建設現場の近くに労働者用の簡易レストランを開いた。
20年間調理現場で働いた経験を活かし、マンション完成までの数年間は無理なく営業
できるだろうと考えていたのだが、コロナ19以降は状況が一変し売上が半減した。
建築現場作業員が防疫の一環として、弁当で昼食を済ませるようになったからである。
テナント家賃や管理費等で毎月200万ウォンかかるが、どうにもできなくなり、敷金の
4,000万ウォンから家賃を補充してもらう方法を取った。
それでも持ち堪えられずに、結局今年7月に廃業を決めた。
しかし、真の苦難はそこから始まったのである。
まず4~5ヶ月残ったテナント契約期間が足を引っ張った。
賃貸人であるビルのオーナーは、中途解約は出来ないと通告してきた。
そして、賃貸借契約時に盛り込まれた原状回復義務により、契約期間満了までに現在の
店舗内設備を全て撤去しろと言われる。
Aさんは交渉の末、すぐに設備を撤去する条件で中途解約をすることができた。
撤去にかかった費用は1,000万ウォン、家賃精算後に戻ってきた敷金は500万ウォン。
コロナ19騒動が始まってから廃業するまでの間、数千万ウォンの損失を見た格好だ。
Aさんのような岐路に立たされている自営業者は全国に存在する。
廃業したくても、それすら難しいのが現状だ。
※このあとBさんの場合、夜逃げの場合、政府の対応と続きますが、無駄に長いので割愛。
(国民日報/朝鮮語/2021.9.17)
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韓国のテナント賃貸借契約や商習慣というのは、日本とかなり異なります。
つい最近まではビルオーナー(賃貸者)の力がありえないほど強力でした。
2020年に賃貸借保護法が施行され、かなりマシにはなったようですがね。
日本と一番異なるのは、「権利金」なるものの存在。
これは現在の店子と、次に入居する店子との間で取り引きされるお金。
様々な要素で金額が決まりますが、結局は韓国式商習慣の延長上にあるものなので、
厳密な算出方法はないのです。
テナントの立地、新しい店子は同業か異業か、元の店子の月間利益はいくらかなど、
まぁそういうのを全てドンブリに入れてはじき出すようです。
この権利金というのも、賃貸借保護法で多少は法的に保護されるようになりました。
一般的には、月間利益の10倍くらいが相場なんだとか。
数千万ウォンになることも珍しくはありません・・・コロナ禍以前の話ですが。
普通は現在の店子が次の店子を自分で見つけてきて、賃貸側と契約を結ばせますよ。
店子が自ら不動産屋に足を運ぶ訳ですね。
賃貸側としても、空きが出ること無く手間を掛けずに継続して収入を得られるので、
特に文句は出ないのです。
たまに儲かってる店子に目をつけて契約延長せずに追い出し、その後同じような店を
自分で出しちゃうような強欲ビルオーナーもいますけど。
※賃貸借保護法で最低10年間は契約延長が法的に保証されるようになった。
こんな場合でも多少ながら権利金は動くんだそうで。
最良なのは同業の店子を見つけて来ることで、この場合最も権利金が高くなります。
異業種だとその分安くなるので、次の店子探しにはあれこれ苦労するんだとか。
これらを取り持つコンサルティング業者も存在するというから根深いですね。
この権利金を是が非でも手放したくないというのは当然ですよ。
次の店子が決まるまでは開店休業状態であっても、借金をして家賃を払い続ける人が
多い最大の理由。
とはいえこれもコロナ禍以前のお話で、今はいくら探しても新たな賃借人など見つから
ないので、そのまま権利金を放棄して廃業の道を選ぶ訳です。
つい最近に経営難で自殺した自営業者のニュースが出ましたが、これが今ありえない程
大きな波紋となっていますよ。
国会前へ焼香所の設置を試み警察と連日対峙したり、黙認された仮設焼香所に各政党の
重鎮が連日現れたりと大騒ぎ中。
まぁ国会のすぐ近くだし寄り易いんでしょうか・・・不法設置なんですけどね。
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