最先端の「海弓」ミサイルが首都圏シールドへ生まれ変わる
北朝鮮が過去27年間「ソウルを火の海にすることができる」と主張してきた背景には、
大量の長距離砲の存在がある。
長距離砲とは、自走砲や多連装ロケット砲を始めとする長距離攻撃用火砲の総称。
特に多連装ロケット砲の脅威は大きく、現在5,500発ほどが配備されているようだ。
軍関係者は「10分以内に数千発の長距離砲が韓国首都圏や主要施設に向け放たれる」
「一部に化学兵器が搭載されていた場合、大量の人命殺傷能力を加えることができる」
と憂慮する。
韓国型ミサイル防御体型=KAMDの開発推進により、弾道ミサイル迎撃能力はある程度
備えることができた。
これにより政府と軍部は、次の段階である対長距離砲防衛網の構築に力を入れている。
仮称「韓国型長距離砲迎撃体系=LAMD」開発事業がそれだ。
LAMDは、長距離砲の中でも破壊力が大きいロケット砲の迎撃に主眼を置く。
弾道ミサイル迎撃用のKAMDと違い、一度に数百発の目標に対応するためには安価で
高精度の迎撃手段が必要不可欠。
そのような次元で「海弓」ミサイルの改良型が検討されている。
関係者は「韓国防衛産業はKAMDを通じて先進的な対空防御用誘導兵器の核心技術を
既に確保しており、7年以内に長距離砲対応の迎撃システムも開発可能」と述べた。
[ソウル経済新聞/朝鮮語/2021.11.6]※超クソ長いので8割ほど省略
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海弓とは、米レイセオン社製の近接防空ミサイル(RIM-116 RAM)を国産に置き換える
ために、LIGネクスワンが開発した近距離艦対空ミサイル。
フランスのVL-MICAを参考にしたと言われています。
韓国型VLSから垂直発射され、世界で2番めにレーダーと赤外線による二重シーカーを
採用したというご自慢の一品ですね。
2011年に開発に着手し、2016年の性能試験では命中率60%で落第。
開発が2年延期され、2018年の再試験では見事90%の命中率を達成。
試験の難易度下げすぎじゃね?と指摘されるものの、この年に開発完了を宣言。
量産化を開始し2021年から実戦配備される予定となっています。
韓国型VLSを必要とするので、今のところ大邸級フリゲート艦のみが運用可能。
イージス艦の世宗大王級にも韓国型VLSがありますが、こちらの予定は無いらしい。
海弓による弾道ミサイル迎撃実験に成功との発表もありました。
しかし単なるコンピューターシミュレーションであったことが後日に判明。
そもそも有効射程が20kmという近距離防空兵器なので、最新の超音速対艦ミサイルの
迎撃すら難しいと言われていますよ。
しかもシースキミング飛翔をされると、ご自慢のマルチシーカーがご機嫌斜めとなり、
目標を見失う事態となることが懸念されています。
開発延期の理由もシークラッター対処能力を向上させるためだったのですが、2度目の
試験では大幅に難易度が下げられたため、性能改善を読み取ることは困難。
北朝鮮の最新対艦ミサイルは、マッハ0.8でシースキミング飛翔可能なんだとか。
韓国軍ではこれを改良して、次期国産戦闘機KF-21の中距離空対空ミサイルに採用する
可能性が高いんだそうです。
フランスのVL-MICAに倣えば、空中発射型だと射程は80kmくらいかな。
インドネシアへの輸出を考える時、可能な限り国産化しないとマズいのですよ。
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