組織強化 vs 縮小・解体
大統領選挙が終盤に入り、高位公職者犯罪捜査処(高捜処)の運命にも関心が集まる。
李在明と尹錫悦の高捜処に対する選挙公約が正反対だからだ。
李在明の場合、高捜処の能力強化は司法改革に関する主要公約の1つ。
独立捜査機関として安着できるように、人的・物的能力を補強する立場だ。
そもそも、地方検察程度の規模で捜査経験も皆無の組織に大型権力不正事件を預けると
いうこと自体に無理があり、政府は器だけ作って放置したという指摘も多い。
李在明の公約では、高捜処に国民評価制度の導入や、人事委員会に外部の者を参加させ
透明性を高めるなどの対策が含まれている。
高捜処と捜査権を巡り葛藤を繰り返す検察側の権限も、更に縮小する計画。
これにより、検察から高位公職者に対する捜査権を完全に切り離す。
対する尹錫悦は、高捜処の権限縮小を核心公約に掲げた。
権力型事件への優先捜査権を持つ条項を廃止すると明らかにしている。
現在の高捜処法24条では、検察や警察が権力型犯罪を確認すれば直ちに高捜処へ通知
しなければならず、高捜処長の異議・要求にも従わなければならない。
だが高捜処の権限が縮小され検察と共同捜査することになるなら、存在価値は事実上
無くなるだろう。
優先捜査権を失えば高捜処は有名無実化すると予測する意見は多い。
しかし専門家らによると、高捜処の改善努力は必要としつつも、優先捜査権の剥奪や
組織自体の解体は容易ではないという。
改正にしろ解体にしろ、国会で法案を通す必要があるからだ。
[ザ・ファクト/朝鮮語/2022.3.6から抜粋・意訳]
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法曹界から推薦された弁護士を中心に組織された高捜処ですが、あまりの素人ぶりに
与党すらイライラしてしまう有様。
そりゃ弁護士連中にいきなり捜査・起訴をやれと言われても無理でしょう。
何しろ昨年には高捜処次長本人が組織の無能さを認めていますからね。
この組織が新設されたのは文在寅政権になってからですが、構想自体はかなり以前から
ありました。
1996年に韓国最強の左派系市民団体である参与連帯が提唱。
金大中や盧武鉉の時にも創設が検討されましたが失敗し、文在寅の時代で強引ながらも
ようやく日の目を見た訳です。
参与連帯は労組に次ぐ左派の支持母体で、国連が主催する会議への参加やスピーチが
認められている組織。※ECOSOCの協力団体。
朴槿恵弾劾ろうそく革命でも貢献し、文在寅政権発足後はパラシュート人事で幹部が
政府機関の要職に就いたりもしています。
※パラシュート人事とは、権力者の意向で部外者が突然空から降ってきたかのように着任すること。
当サイトでも何度か書きましたけど、尹錫悦が当選しても2024年の国会総選挙で野党が
大勝利をおさめない限り、立法や予算関連で大鉈を振るうのは事実上不可能。
国会の承認が必要な高捜処改革・解体などは当面無理ということになります。
現在のキム処長も来年1月まで任期が残っているので、5月の新政権発足から最低でも
つい最近は政敵への携帯電話通信記録収集で俎上にあげられた高捜処ですが、その後
どうなっているのか続報も出てこないので不明。
今は政権交代を見越して必死に証拠隠滅している最中かもしれませんよ。
選挙を目前にしてのメインサーバー交換で騒がれた国家情報院みたいにね。
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